総務の「同じ質問に何度も答える」工数をNotebookLMで削減する
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Askiveデイリー #98 ・ 2026-07-06

総務の「同じ質問に何度も答える」工数をNotebookLMで削減する

総務担当の受信箱には、同じ質問が繰り返し届く。「有給の申請って何日前まで?」「経費精算の締め日は?」「モニター申請、どこに出すんでしたっけ」。そのたびに就業規則PDFを開き、該当箇所を探し、噛み砕いて返信を書く。例えば1件あたり10分、1日5件とすると1日50分、月換算で中堅社員の半日分ほどが「同じ答えの書き直し」に充てられていることになる(これは筆者の業務観察に基づく試算例であり、実測値は職場環境により異なる)。

問題の構造は明快だ。答えは社内のどこかに必ずある。就業規則にも経費規程にも備品ルールにも、答えは書いてある。それでも質問が来るのは、分厚いマニュアルを読むより総務に聞いた方が速いからである。ここを責めても質問は減らない。

本記事では、Googleが提供するNotebookLMを使い、自分が問い合わせに答える「回答下書きマシン」を1つ作る手順を解説する。同僚に何かを配る必要はない。まず自分の返信作業だけを軽くすることが目的だ。なお、この仕組みが効果を発揮するのは一定の前提条件がそろった場合に限られる。向かないケースについては後述する。

NotebookLMの特性と無料・有料プランの違いを確認する

仕様の根拠:Googleの公式ドキュメントを参照する

NotebookLM(Googleが提供する、アップロードした資料を根拠に回答するAIノートツール)の核心的な仕様は、Google公式のNotebookLMヘルプセンターおよびプロダクトページ(Google LLC、2025年6月時点)に記載されている。同資料によれば、NotebookLMはユーザーがアップロードしたソース(資料)を情報源として参照し、回答を生成する設計になっている。つまり、ソースとして登録していない情報を根拠に回答を生成する仕組みではない。

一般的な汎用生成AIは、質問に対して学習済みの広範な知識から「それらしい答え」を生成する。総務の問い合わせ対応でこの挙動が起きると実害が生じる。「有給は入社半年後から」と一般的な労働基準法の原則で返されても、自社規程が入社時付与であれば誤りになる。

NotebookLMであれば、就業規則PDFをソースに登録した場合、その規則に記載された内容を根拠として下書きを生成し、「就業規則第12条」のように参照箇所を示す。総務担当が最終確認する際、この出典表示によってどこを見れば裏取りできるかが即座にわかる。ただし、ソース資料の記載自体が古かったり誤字を含んでいたりする場合は、その誤りをそのまま引用する点に注意が必要だ。回答の正確性は登録資料の品質に依存する。

無料プランと有料プランの違いを把握する

中小企業の担当者が「コストゼロで始められるか」を判断するうえで、プラン仕様の把握は意思決定に直結する。Google公式のNotebookLMプロダクトページ(Google LLC、2025年6月時点)によれば、無料プランでは1ノートブックあたり最大50ソース、各ソースは最大500,000語までアップロード可能とされている。有料プランであるNotebookLM Plus(Google Workspace向けおよび個人向けGoogle One AIプレミアムプランに含まれる)では、ソース数の上限拡張や優先アクセスなど追加機能が提供される。

通常の中小企業で扱う就業規則・経費規程・備品申請フロー程度のボリュームであれば、無料プランの範囲内で運用できると考えられる。正確な最新仕様はGoogle公式ページで確認することを推奨する。

営業・マーケ担当者にとっての実益を整理する

本記事は総務担当の作業効率化を中心に構成しているが、営業担当やマーケティング担当にとっても間接的なメリットがある。「経費精算の締め日は?」「このケースで交通費は出る?」といった規程確認を総務に問い合わせる手間が減れば、営業・マーケ担当者自身が規程資料を参照して自己解決できる環境に近づく。総務が回答下書きマシンを整備することで、問い合わせ側の待ち時間も短縮される。

NotebookLMが向かないケースを確認する

導入を検討する前に、以下の条件に該当する場合はそのままでは効果を得られない、または運用リスクが生じると考えられる。

運用環境・資料面での制約

就業規則やマニュアルが文書化されておらず、ルールが担当者の記憶や口頭合意のみで運用されている場合、NotebookLMに入れるべき資料が存在しない。この状態ではまず規程の文書化が先決となる。

手書き原稿をスキャンした画像PDF(テキストレイヤーが存在しないもの)は、アップロード自体は可能でも文字情報をうまく読み取れない場合がある。就業規則が紙スキャンのみで管理されている場合、Wordの元データを探すかテキストに起こしてから登録する必要がある。

複数言語での対応が必要な職場(外国籍従業員が多く、規程と問い合わせの言語が異なるケースなど)では、翻訳精度の問題が生じる可能性があり、適用範囲を慎重に見極める必要がある。

情報セキュリティ・ガバナンス面での確認

就業規則や経費規程は機密性を持つ社内文書である。クラウドサービスへのアップロードが社内の情報セキュリティポリシーで制限されている場合、または法務・コンプライアンス部門の確認が必要な場合は、導入前に所定の承認プロセスを経る必要がある。情報管理規程が整備されていない段階では、利用範囲を個人の参照補助に限定するなど慎重な運用が求められる。

今日の実装手順

用意するものはGoogleアカウントと、社内の規程ファイルだけだ。

ステップ1:ノートブックを作り、資料を入れる

notebooklm.google.com にアクセスしてGoogleアカウントでログインし、「新規作成」を押す。中央に資料アップロード画面が出るので、手元の以下を放り込む。

  • 就業規則(有給・休暇関連)
  • 経費精算規程
  • 備品・消耗品の申請フロー
  • よく使う社内FAQがあればそれも

PDF、Googleドキュメント、テキストのいずれも読み込める。無料プランで1ノートブックあたり最大50ソースまで登録できるため(Google LLC公式NotebookLMページ、2025年6月時点)、問い合わせが集中するテーマを1つのノートにまとめておくと管理しやすい。

画像スキャンPDFは文字情報をうまく拾えない場合がある点に注意する。就業規則が紙スキャンのみのファイルであれば、Wordの元データを探すか、テキストに起こしてから入れる方が確実だ。

ステップ2:回答ルールを最初に固定する

資料を入れたら、いきなり質問せず、まず回答の型を教え込む。チャット欄に次を貼る。

あなたは総務の問い合わせ対応アシスタントです。
以下のルールで回答してください。

1. アップロードされた資料に書かれている内容だけで答える
2. 資料に該当箇所がない場合は「資料に記載がありません」と明記する
3. 回答は「社員への返信文の下書き」として、丁寧語で出力する
4. 根拠となった規程名と条項番号を回答末尾に記載する
5. 手続きの締め日や提出先など、日付・場所は資料の表記のまま正確に書く

このルール文が、下書きの品質をほぼ決める。特に2番の「記載がない場合は無いと言え」が重要だ。これを外すと、資料にない部分をそれらしく埋めてくる場合がある。

質問を重ねるうちにルールが反映されなくなったと感じたら、このルール文をチャット欄に再度貼り直せば元の動作に戻る。

ステップ3:実際の質問で下書きを出す

準備ができたら、実際に来た質問をそのまま打ち込む。

「有給を来月10日に取りたいのですが、いつまでに申請すればいいですか」
という質問が来ました。社員への返信文の下書きを作ってください。

就業規則の該当条項を根拠にした返信文の下書きが出力される。総務担当がやるのは、出典表示された条項を確認し、社名や宛名を足して送るだけだ。資料を探す・読む・噛み砕くという3工程が省略できる。

動作確認:成功の判定基準を設ける

資料外の質問への応答を確認する

成功の判定はシンプルだ。試しに、意図的に資料に載っていない質問を1つ投げる。例えば規程に記載のない「副業の申請方法」などを聞いてみる。「資料に記載がありません」と返ってくれば、ルールが正しく機能している。逆に、それらしい手続きを生成してきた場合は、ステップ2のルール文を貼り直す。

根拠表示の有無を確認する

正しい質問を投げたとき、回答末尾に規程名と条項番号が付いているかを確認する。付いていれば、担当者は10秒で裏取りできる状態になっている。この確認を毎回省略しないことが、実務での信頼性を担保する。

職種別・今日から効く場面

総務(毎日):有給・経費の定番問い合わせ

Before:就業規則PDFを開き、有給関連の条項を探し、噛み砕いて返信。例えば1件10分。 After:質問を貼って下書きを受け取り、確認して送信。例えば1件2〜3分。1日5件なら1日35分前後の削減(いずれも環境依存の試算例)。

以下の問い合わせに、社員への返信文の下書きを作ってください。
根拠の条項番号も付けてください。
「先月立て替えた交通費、いつの給与で精算されますか。領収書は必要ですか」

経理(週数回):経費規程の解釈確認

経費の可否判断は、総務と経理の間で行き来しがちだ。「この懇親会費は経費で落ちるか」といった問い合わせを、規程本文を根拠に一次判定できる。

Before:規程を読み直し、過去メールを検索して前例を探す。例えば1件15分。 After:規程を根拠にした判定下書きを得て、判断が難しい部分だけ人が確認。例えば1件5分(いずれも環境依存の試算例)。

経費精算規程にもとづいて回答してください。
「取引先との昼食代を1人2,000円で計上したい」
は経費として認められますか。認められる場合の上限額と、
必要な書類を教えてください。根拠の条項も示してください。

情報システム兼任担当(不定期):備品・アカウント申請

ゼロ情シス(専任の情報システム担当者を置かず、総務などが兼任している体制)の会社では、PCやモニターの申請対応も兼任担当に届く。申請フローを入れておけば、手順の案内文をそのまま出力できる。営業担当者がモニター申請の方法を確認したいとき、総務に問い合わせる前に自分で参照できる環境にもつながる。

Before:申請フロー図を開き、手順を文章に起こして返信。例えば1件12分。 After:手順の案内文を下書きで受け取り、確認して送る。例えば1件3分(いずれも環境依存の試算例)。

備品申請フローの資料にもとづいて回答してください。
「在宅用に外付けモニターが欲しい場合、
誰に、どの様式で申請すればいいですか。承認は誰が出しますか」
社員向けの案内文として下書きしてください。

今日からの3ステップで運用を始める

段階的に範囲を広げる

  1. 今日:問い合わせが最も多いテーマ(有給・経費・備品のどれか1つ)を選び、その規程ファイルだけを1つのノートブックに入れる。全テーマを一度に整備しようとせず、まず1テーマに絞る。
  2. 今日の残り:ステップ2のルール文を貼り、実際に来た質問を1件だけ試す。出た下書きの精度を、自分の目で1件確認する。
  3. 今週:精度が許容範囲であれば、扱う規程を2〜3テーマに広げる。同僚への展開は、自分が運用を通じて信頼できると判断してからで構わない。

日本語の規程を日本語で読ませて日本語で下書きさせる用途においては、実務的な解説事例がまだ少ない段階にあると考えられる(各種公開情報の調査に基づく所見、2025年6月時点)。就業規則という「自社にしかない一次資料」を保有している総務担当は、この特性を具体的に活用できる立場にある。同じ答えを書く時間を削減するところから着手し、運用実績を積んだうえで展開範囲を広げていくのが現実的な順序だ。

本記事はAI編集を経たのち、編集長が事実確認と品質チェックを実施しています。

本記事はAskiveのAIネイティブ編集部が執筆し、編集長 四月鶉(Yotsuki Uzra)が監修しています。内容は公開時点で確認できた情報に基づきます。