自然言語で業務自動化を組めるZapierとMakeを中小はどちらから始めるか
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Askiveデイリー #130 ・ 2026-07-23

自然言語で業務自動化を組めるZapierとMakeを中小はどちらから始めるか

自動化ツールの導入相談で、最初に聞かれる質問はほぼ決まっている。「ZapierとMake、結局どっちがいいんですか」。この問いに一言で答えると、たいてい相手はがっかりした顔をする。なぜなら答えは「あなたの会社の体制による」で、正論すぎてつまらないからだ。

ただ、この「体制による」を具体的な判定軸まで分解すれば、話は変わる。この記事では、両者を3つの比較軸で切り、自社がどちらから始めるべきかを最後にフローチャート的に判定できるところまで持っていく。

何を基準に選ぶのか、先に宣言しておく

まず前提を整理する。ZapierもMakeも、「あるアプリで起きたこと」を引き金に「別のアプリで処理を走らせる」ことを自動化するツールだ。たとえばフォームに問い合わせが入ったら、スプレッドシートに追記し、担当者にチャットで通知する。この一連を人手なしで回す。両者は同じ課題を解く直接の競合であり、「どちらが優れているか」より「どちらが自社の手に馴染むか」で選ぶべき製品同士だ。

判定基準は次の3つに絞る。(1)非専門の担当者が一人で組み切れるか、(2)処理件数が増えたときの料金の伸び方、(3)日本の中小業務での実務適合。この順に見ていく。

ちなみに両者とも、近年は自然言語で「こういう自動化を作りたい」と入力すると下書きを生成してくれる機能を備えている。これは便利だが、後述するように「下書きが出る」ことと「そのまま業務に使える」ことの間には、けっこう深い溝がある。

比較軸1:非専門の担当者が一人で組み切れるか

野良AI担当、つまりPCに詳しそうという理由だけで自動化を任された兼任者にとって、最初の壁は「画面を見て意味がわかるか」だ。

Zapierは、この点で作りが素直だ。「引き金(トリガー)が1つ、その後に処理(アクション)が縦に並ぶ」という一本道の構造を基本とする。上から下へ読めば何が起きるかわかる。連携できるアプリ数は公式サイト(2026-07確認)で8,000以上とされ、有名どころのSaaSはほぼ揃っている。設定は選択式のフォームが中心で、コードを書かずに済む場面が多い。

Makeは、処理の流れを線でつないだ図(フローチャート)として画面に描く。分岐や繰り返し、複数データの合流といった複雑な処理を視覚的に組める。表現力は明らかにMakeが上だ。ただしその表現力は、初見の担当者にとっては「配線図を渡されて『あとよろしく』と言われた」感覚に近い。

ここで冒頭の自然言語生成の話が効いてくる。「顧客からメールが来たら要約してSlackに流す」と入力すれば、両者とも下書きは出す。だが出てきた下書きが正しく動くかは別問題で、条件分岐や例外処理を人が確認して直す工程は残る。AnthropicのApplied AIチームが社内で共有した知見に、示唆がある。「make it better(もっと良くして)」のような曖昧な指示は精度が上がらず、AI側から質問させる設計にしたほうが結果が良い、というものだ(Anthropic関連の業界調査、2026-07確認)。つまり自然言語生成に丸投げするより、「どのメールか」「要約は何文字か」を自分が答えられる状態にしておくほうが、修正の手間は減る。生成機能は魔法ではなく、下書き係だと思ったほうがいい。

一人でまず一本通したいなら、この軸ではZapierが有利だ。

比較軸2:処理件数が増えたときの料金の伸び方

ここが両者の性格を最も分ける。課金の数え方が違うのだ。

Zapierは「タスク」単位で数える。1つのアクションが1回実行されると1タスク。有料プランは公式サイト(2026-07確認)で月19.99ドルから(年払い時)で、月あたりの実行回数に上限がある。

Makeは「オペレーション」単位だが、料金設計がZapierより件数に対して割安になりやすい。公式サイト(2026-07確認)で有料プランは月9ドルから(年払い時)で、同じ予算でこなせる処理回数はMakeのほうが多い傾向がある。

具体的に想像してみる。仮に「1件の問い合わせにつき3つの処理(記録・通知・自動返信)が走る」自動化を、月300件動かすとする。試算すると月900回の実行だ。この程度なら両者の下位プランで収まるが、これが月3,000件、5,000件と伸びていくと、Zapierはプラン上位への移行圧力が早く来る。件数が多く単純な処理を大量に回すなら、Makeのコスト効率が生きる。

逆に言えば、月数百件どまりの中小企業では、この差はほとんど体感できない。「将来的に処理件数が跳ねる見込みがあるか」が、この軸の分かれ目になる。跳ねないなら、料金差を理由にMakeを選ぶ意味は薄い。数字だけ見て「安いほう」と飛びつくと、使いこなせないツールの前で固まる時間のほうが高くつく。

比較軸3:日本の中小業務での実務適合

海外発のツールを国内の現場に持ち込むときは、便利そうという印象だけで進めてはいけない。確認すべき軸がある。

日本語表示については、両者とも管理画面の日本語対応が進んでいるが、細かい設定説明やエラーメッセージは英語のまま残る箇所がある。サポート言語も一次窓口は英語が基本だ。ここは「英語のエラー文をAIに翻訳させて読む」くらいの割り切りが要る。

もう一つ重要なのが、金額・請求・顧客情報が絡む処理の扱いだ。Zapierの事例では、会計チーム8人が150以上の自動化を運用し、月次決算を25%短縮、仕訳検査を12時間から2時間へ縮めたと報告されている(Zapier関連の公式情報、2026-07確認)。数字は魅力的だが、注意すべきは彼らが「実行者自身が組み、経営層が権限を与えた」体制で回している点だ。ツールが優秀だから縮んだのではなく、組む人と任せる人が揃っていた。

そして適格請求書(インボイス)の番号照合や振込金額の確認といった、間違えると実害が出る処理は、自動化しても原本との照合と人の最終確認を必ず残すべきだ。AIも自動化も、ここを飛ばして「全部おまかせ」にできる段階ではない。国内の会計ソフトとの連携可否も、導入前に自社の使っているソフト名で個別に確認しておきたい。

ケース別の選び方

(A)まず一本、問い合わせ通知や記録の自動化を一人で試したい:Zapierから。一本道の構造と豊富なアプリ連携で、最初の成功体験を作りやすい。

(B)月数千件規模の単純処理を、コストを抑えて大量に回したい:Make。件数に対する料金効率が生きる場面だ。

(C)分岐や条件が複雑な業務フローを、図で管理したい:Make。ただし組める人が社内に一人はいることが前提になる。

(D)会計・請求など数字が絡む業務を段階的に自動化したい:Zapierの事例が近いが、ツール選定より先に「実行者に権限を渡せるか」を経営層と握るほうが重要だ。

今日の総括

判定を一枚に畳む。社内に自動化を触れる人が実質一人しかいないなら、Zapierから。一本道で組めて、最初の一本を通しやすい。処理件数が数千件規模に伸びる見込みがあり、複雑な分岐も扱いたいなら、Make。ただし図を読める人が要る。件数が月数百どまりで、まず動くものを見たいだけなら、料金差は気にせず馴染むほうを選べばいい。

自社がどちらか迷ったら、次の3つに答えてほしい。「触れる人は一人か複数か」「月の処理件数は数百か数千か」「数字が絡む業務を含めるか」。この3問で、たいていの会社は選ぶ側が決まる。ツールの優劣ではなく、自社の手に馴染むかどうか。結局そこに帰ってくる。

本記事はAI編集を経たのち、編集長が事実確認と品質チェックを実施しています。

本記事はAskiveのAIネイティブ編集部が執筆し、編集長 四月鶉(Yotsuki Uzra)が監修しています。内容は公開時点で確認できた情報に基づきます。