提案書の社名差し替え作業、GammaとMakeで入力一回の草案生成に変える手順
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Askiveデイリー #167 ・ 2026-08-11

提案書の社名差し替え作業、GammaとMakeで入力一回の草案生成に変える手順

営業担当の机の上には、たいてい「前回の提案書」が転がっている。それをコピーして社名を書き換え、金額を差し替え、業種に合わせて数枚を作り直す。この儀式を案件のたびに繰り返すうち、資料作りが「営業活動」だと錯覚してくる。実際には、顧客と話していない時間が積み上がっているだけだ。

この課題は、30〜200人規模の企業で特に起きやすい。専任のデザイナーが社内におらず、提案書テンプレートの管理が特定の担当者に属人化しているため、フォーマットの統一と作成の両方が同じ人間に集中する構造になりやすいからだ。

GammaとMakeを連携させると、この儀式の入口が変わる。フォームに顧客名・課題・予算を入力して送信すると、GammaがAIで提案スライドの草案を生成する。この記事では、その自動化フローを実際に構築する手順を、詰まりやすい箇所とともに解説する。「入力一回、草案一枚」という設計思想のもと、手作業の起点を白紙のスライドからフォームの送信ボタンへ移す。

料金の目安を先に示しておく。Gammaは2025年時点で無料プラン・Plusプラン(月400円前後相当)・Proプラン(月額数千円前後)の複数階層があり、API利用は有料プラン限定と案内されている(詳細は後述)。Makeは無料プランで月1,000オペレーション(Make上での処理単位)まで利用可能で、月数回程度の小規模運用なら無料枠で試せる場合がある。いずれも本記事執筆時点での公開情報をもとにしており、最新料金は各サービスの公式サイトで必ず確認すること。

GammaとMakeの概要と、Makeを選ぶ理由

各ツールが担う役割

Gamma(ガンマ)は、テキストや箇条書きを渡すとスライド・ドキュメント・WebページをAIで自動生成するツールだ。サンフランシスコのGamma Tech, Inc.が開発・提供しており、公式サイト(gamma.app)で機能概要と料金プランを公開している。

Makeは、複数のWebサービスを視覚的な「線」でつないで処理を自動化するノーコードツール(ノーコード:プログラムを書かずに処理を組めるツールの総称)だ。チェコのCelonis傘下のMake(旧Integromat)が運営しており、公式サイト(make.com)で料金プランと機能仕様を公開している。

この2つを組み合わせると、「フォーム入力→AIがスライド草案生成」という一連の流れを、コードを書かずに構築できる。GammaはHTTP API(アプリケーション間でデータをやりとりする仕組み)経由での生成に対応しており、MakeのHTTPモジュールから呼び出せる。

同種のZapierでなくMakeを選ぶ根拠

同種のツールとしてZapierが存在するが、本記事でMakeを採用する理由は三点ある。第一に、MakeのHTTPモジュールはリクエストのヘッダー・ボディ・認証方式を細かく制御でき、GammaのようにAPIキーをカスタムヘッダーで渡す仕様に対応しやすい。第二に、無料プランの操作数上限がZapierより多く、小規模テストの段階でコストが発生しにくい。第三に、分岐・繰り返し・エラーハンドリングをシナリオ内で視覚的に組める点が、初期構築と保守の両面で利便性が高いと考えられる。

APIの提供状況と料金・利用制限の確認

Gamma APIの現状

Gammaは公式サイト(gamma.app)上でAPIの提供を案内している。ただし、API機能の提供範囲・料金体系・利用制限の詳細は、2025年以降も継続的に改訂されているため、本記事に記載する情報は参考値にとどまる。実際に構築を開始する前に、以下の手順で一次情報を必ず確認すること。

  1. gamma.app にログインし、アカウント設定(Settings)内の「API」または「Integrations」セクションを開く。
  2. APIキーの発行メニューが表示されない場合は、現在のプランがAPI利用対象外である。
  3. Gammaの公式ヘルプセンター(support.gamma.app)またはDeveloperドキュメントページで、エンドポイント仕様・レート制限(一定時間内のリクエスト上限)・利用可能なプランを確認する。

本記事に記載しているAPIエンドポイントのURLやパラメーター名は、公開情報をもとにした参考例であり、仕様変更により動作しない可能性がある。手順を進める前に、公式ドキュメントで現行仕様を照合することを強く推奨する。

Makeの料金と操作数の目安

Makeの料金プランは公式サイト(make.com/en/pricing)で公開されている。2025年時点の案内では、無料プランで月1,000オペレーション、Coreプランで月10,000オペレーション(月額9ドル前後)が目安として示されている。本フローは1件のフォーム送信あたりおおむね3〜5オペレーションを消費するため、月20〜30件程度の提案書作成であれば無料枠で収まる計算になる。ただし料金は為替・プラン改定の影響を受けるため、最新情報は公式サイトで確認すること。

自動化が効く場面と効かない場面

効果が出やすい業種と条件

効果が出やすいのは、提案書の骨格がある程度固まっている業種だ。たとえばリフォーム、保険代理店、業務用機器販売、Web制作。顧客ごとに社名・課題・金額が変わるだけで構成は共通という商材がこれにあたる。「差し替えれば8割方いける」提案が月に数本以上あるなら、構築する費用対効果が出やすい。

導入が向かない条件

逆に、以下の条件では自動化の恩恵が薄い。

  • 案件ごとにゼロから構成を練る大型コンサル提案:草案が出ても結局ほぼ全面的に書き直すことになる。
  • 図面・仕様書が提案の主役になる技術系提案:テキスト生成の強みが活きない。
  • 提案書の型が存在せず、毎回顧客のシステム要件を詳細に記述する受託開発案件:入力フォームに収まらない情報量になる。

フローを組む前に、自社の提案書が「型の使い回し」と「ゼロ起こし」のどちらに近いかを確認するのが先決だ。

技術的背景:なぜ今この構成で実現できるのか

これまでの障壁

これまでも「フォームからスライド」は理屈の上では可能だった。ただ、フォームの回答をスライドのレイアウトに落とし込む部分が人力で、そこが全工程の大半を占めていた。テキストは自動で集まっても、見出しを立て、箇条書きを整え、体裁を揃える作業が残るためだ。

現在の構成が成立する理由

GammaのAPIは、渡したテキストの構造を解釈してスライドの体裁まで組む処理をサーバー側で実行する。Makeが「情報を運ぶ配管」、Gammaが「体裁を組む処理エンジン」を担い、人間は入力と最終確認だけに回れる。この分業が成立したことで、コードを書けない担当者でも自動化フローを維持できる構成になった。

実装手順

ステップ1:GammaのAPIキーを取得する

Gammaの公式サイト(gamma.app)にログインし、アカウント設定からAPIキーを発行する。API利用は有料プランが前提であり、無料プランではAPIキー発行メニューが表示されない場合がある。発行できるプランと現在の料金は、ログイン後のSettings画面またはGammaのヘルプセンター(support.gamma.app)で確認すること。

発行された文字列は再表示されないことが多いため、発行直後にテキストファイルへ控える。

詰まりやすい点:APIキーの発行メニューが見当たらない場合、プランが対象外である可能性が高い。無料プランのまま手順を進めて「メニューが存在しない」と止まるのが典型的なケースだ。最初にプラン階層とAPI利用条件を確認してから先に進む。

ステップ2:入力フォームを用意する

Google フォームで以下の項目を作る。

- 顧客名(記述式)
- 業種(記述式)
- 抱えている課題(段落)
- 提案する商品・サービス(記述式)
- 概算予算(記述式)
- 提案の締め切り希望日(日付)

このフォームの回答をMakeのトリガーにする。項目は増やしすぎないこと。入力が煩雑になると営業担当が使わなくなり、机の上の「前回の提案書」に手が伸びる。

ステップ3:Makeでシナリオを組む

Makeで新しいシナリオを作り、最初のモジュールに Google Forms(または Google Sheets)の「Watch Responses」 を置く。フォーム回答をスプレッドシートに飛ばしている場合は、シートの新規行を監視する構成が安定する。

次に HTTPモジュールの「Make a request」 を追加し、Gamma APIを呼び出す。以下は参考構成であり、実際のエンドポイント・パラメーター名はGamma公式のAPIドキュメント(gamma.app内のDeveloperセクション、または公式ヘルプセンター support.gamma.app)で現行仕様を必ず確認すること。

Method: POST
URL: (Gamma公式APIドキュメントに記載のエンドポイントを使用)
Headers:
  X-API-KEY: (ステップ1のキー)
  Content-Type: application/json
Body(JSON):
{
  "inputText": "以下の情報から提案スライドの草案を作成。{{顧客名}}様向け、業種は{{業種}}。課題は{{課題}}。提案商品は{{商品}}、概算予算{{予算}}。表紙・課題整理・提案内容・導入効果・見積概要・次のステップの6枚構成で。",
  "format": "presentation",
  "textMode": "generate"
}

{{ }} の部分は、Makeの前段モジュールから回答データをマッピングして差し込む。パラメーター名(inputTextformattextModeなど)は仕様変更により異なる場合があるため、公式ドキュメントで照合してから使用すること。

詰まりやすい点:JSONのカンマ抜けや、日本語をそのまま埋め込んだ際のエンコード崩れが起きやすい。まずは固定の文字列でテスト送信し、スライドが1枚でも生成されることを確認してから変数マッピングに進むと、原因の切り分けがしやすい。

ステップ4:生成結果の通知を追加する

HTTPモジュールの後に Slack か Gmail の送信モジュール をつなぎ、生成されたGammaのURLを担当者へ通知する。APIのレスポンスに生成物のリンクが含まれるので、そのフィールドをマッピングする。

詰まりやすい点:Gammaの生成は即時完了しないことがある。送信直後にURLを取りに行くと空で返る場合があるため、レスポンスにステータスが含まれる仕様であれば、少し待って再取得する分岐を挟むと動作が安定する。レスポンスの構造は公式APIドキュメントで確認する。

動作確認と最終チェック

テスト手順

テスト用にダミー顧客情報でフォームを送信する。成功していれば、数分以内に通知が届き、リンクを開くと表紙から「次のステップ」まで6枚が並んだ草案が表示される。空のスライドや1枚だけの生成であれば、Bodyの構成指示がAPIに届いていない可能性が高い。Makeの実行履歴で、HTTPモジュールに渡ったJSONの中身を確認する。{{ }} がそのまま残っていればマッピングが外れている。

最終確認の必須事項

生成物はあくまで草案だ。金額・契約条件・顧客固有の情報は、必ず原本と照合し、送付前に人が最終確認する。AIは埋め込んだ数字を異なる表記に変換することがある。また、Gammaが生成する日本語表現は日本の商習慣に沿わない場合があるため、文言の確認を省略しないこと。

職種別の活用シーンと入力例

営業担当(週数回の提案書作成)

Before:新規提案のたびに過去資料をコピーし、体裁調整に1時間半After:フォーム入力3分+通知を待って草案が届き、修正15分

以下の顧客向けに提案スライド草案を6枚構成で作成。
顧客名:山田製作所様/業種:金属加工
課題:受注管理がExcelで属人化、担当者不在時に停止
提案:クラウド受注管理システム(初期0円・月3万円)
構成:表紙/課題の整理/提案概要/導入後の変化/料金/導入ステップ
トーンは丁寧だが冗長にしない。

経営企画担当(月数回の社内提案)

Before:役員会向けの施策提案を、都度スライドで起こして半日After:要点を箇条書きで入力し、たたき台を10分で入手して肉付け。

社内施策の提案スライドを作成。テーマは「問い合わせ対応の自動化」。
現状:月400件の問い合わせを2名で対応、残業が常態化。
提案:チャット一次対応の導入。構成は現状/課題/提案/想定効果/費用/スケジュール。

マーケティング担当(不定期の紹介資料作成)

Before:協業先へのサービス紹介資料を、案件ごとに新規作成。 After:紹介先の業種と訴求点を入れ、共通テンプレの草案を数分で確保。

協業先向けサービス紹介スライドを作成。
紹介先:地域の工務店/訴求点:施主向けWeb見積の内製化。
構成:サービス概要/導入メリット/連携イメージ/料金/問い合わせ先。
専門用語は避け、非IT職でも読める言葉で。

今日から始める3ステップ

  1. 今日:Gammaのプラン階層とAPI利用条件をGamma公式サイト(gamma.app)で確認し、APIキーが発行できる状態かだけを見る。
  2. 今週:Google フォームを6項目で作り、Makeで固定文字列のテスト送信を1回通す。
  3. 来週:変数マッピングを差し込み、ダミー顧客で6枚の草案が出るまで確認する。

Gammaは日本語入力・日本語スライド生成に対応しているが、生成される文言の細部は日本の商習慣に必ずしも沿わない。最初は自社の1商材に絞って型を固めるのが現実的だ。白紙から書く作業を、送信ボタンひとつに置き換えるところから始めればよい。

本記事はAI編集を経たのち、編集長が事実確認と品質チェックを実施しています。

本記事はAskiveのAIネイティブ編集部が執筆し、編集長 四月鶉(Yotsuki Uzra)が監修しています。内容は公開時点で確認できた情報に基づきます。