HeyGenかSynthesiaか、既存スライドを動画化する担当者向け判断軸
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Askiveデイリー #184 ・ 2026-08-20

HeyGenかSynthesiaか、既存スライドを動画化する担当者向け判断軸

社内フォルダに研修用PowerPointが何十枚も眠っている、という状況は珍しくない。読めば分かる内容でも、新人から「動画で見たい」と言われる場面は増えている。動画の方が音声と視覚を同時に使えるため頭に入りやすく、その要望自体は理にかなっている。とはいえ、講師を撮影し直すのは現実的ではない。

そこで浮上するのが、スライドとテキストからアバター(AIが生成する人物映像)が説明してくれる動画ツールだ。代表格がHeyGenSynthesiaの2つ。どちらも「原稿を入れると人が読み上げる動画になる」点は同じで、だからこそ担当者は選べずに止まる。

本記事では、中小企業・IT専任がいない会社の担当者が実務で判断できるよう、3つの軸で整理する。最初に気になるのはコストのはずなので、(1)価格と課金の読みやすさ、(2)既存スライドの取り込みやすさ、(3)日本語運用と国内実務での使い勝手の順で見ていく。また、そもそもどういった条件のときにこれらのツールを導入すべきでないかも後段で整理する。


判定軸1:価格と課金の読みやすさ

Synthesiaの料金体系

中小企業でツールが定着しない理由の上位は、たいてい「請求額が読めない」ことだ。使うたびに増える課金は管理コストも高まり、いつの間にか誰も触らなくなる。

Synthesiaは無料プランと、有料のStarter・Creatorなどの階層を公式に提示している(Synthesia公式サイト「Pricing」ページ、2025年6月時点)。多くのプランで「月あたりの動画生成分数(クレジット)」に上限があり、作れる動画の総尺で課金が決まる構造だ。研修動画のように「年に十数本、各10分程度」といった使い方なら、必要な分数から逆算してプランを選べる。

HeyGenの料金体系

HeyGenも無料枠と有料のCreator・Teamプランを公式に用意しており、こちらもクレジット(生成できる動画の分数や本数)ベースで管理される(HeyGen公式サイト「Pricing」ページ、2025年6月時点)。カスタムアバターの作成数や利用できる機能でプランが分かれる構成だ。

課金を読むための考え方

価格の最新数値は変動するため、契約直前に必ず公式サイトで確認してほしい。ここで伝えたい判断のコツは金額の大小ではなく、「自社が年に何分ぶんの動画を作るか」を先に見積もることだ。月1本・各10分の研修動画を作るなら年間120分になる。この総尺がプランの上限内に収まるかを見れば、どちらのツールでも無駄なく選べる。前提の分数を決めずにプランを眺めても比較にならない。

なお、導入前の見積もりが「年間10分以下」に留まる場合は、両者の有料プランを契約するよりも無料枠で都度対応するか、動画制作自体を外注するほうがコスト効率が高い可能性がある。


判定軸2:既存のPowerPointをどこまで楽に流し込めるか

Synthesiaのスライド取り込み仕様

最初の関門は、手元のスライドを素材として活用できるかどうかだ。ゼロから動画を組み立てる設計であれば、既存資産が活きずに二度手間になる。

Synthesiaは、PowerPointファイルをアップロードして各スライドを背景として取り込み、そこにアバターとナレーションを重ねる設計を公式に案内している(Synthesia公式ヘルプセンター「Importing PowerPoint presentations」、2025年6月時点)。スライド1枚が動画1シーンに対応するイメージで、既存の研修資料をそのまま骨格に使いたい担当者とは相性がいい。テンプレートも研修・オンボーディング向けが充実している。

HeyGenのスライド取り込み仕様

HeyGenもPowerPointおよびPDFのインポートに対応しており、資料からアバター動画を起こす機能を公式に持つ(HeyGen公式ヘルプセンター「Importing slides to create videos」、2025年6月時点)。加えてHeyGenは、テキスト原稿から動画を組み立てる自由度や、既存の実写動画を素材に使う方向にも強い。

まとめると、「スライドを忠実に動画化したい」ならSynthesia、「スライドを起点にしつつ演出も足したい」ならHeyGenという色分けになる。

修正のしやすさという見落とされがちな観点

取り込んだ後の修正のしやすさも重要だ。研修資料は毎年どこかが変わる。1文字直すたびに動画全体を作り直す設計だと、初回は楽でも2年目から負担が大きくなる。両者ともシーン単位でテキストを差し替えて再生成できるが、「スライドの一部だけ差し替えたい」という更新頻度の高い使い方では、スライド構造をそのまま保つSynthesiaのほうが操作の感覚を追いやすいと考えられる。


判定軸3:日本語の自然さと国内実務での落とし穴

日本語音声の品質と確認工程

海外サービスを研修に使う以上、日本語の読み上げが不自然だと受講者の集中は切れる。両者とも日本語ナレーションと日本語アバターに対応している(HeyGen公式サイト・Synthesia公式サイト、いずれも2025年6月時点)。ただし自然さは原稿の書き方に依存する部分が大きく、漢字の読み間違いや固有名詞のアクセントはどちらのツールでも発生しうる。専門用語の多い研修動画では、読み仮名を指定できる機能や、生成後に音声を聞いて原本と照合する工程が必須になる。AIだから完璧と考えず、人が最終確認する前提で運用したい。

国内実務で確認すべき3つの軸

国内実務の観点では、確認軸を分けて見る必要がある。

  • 管理画面とサポートの日本語対応:両者とも管理画面は多言語化されているが、トラブル時の問い合わせ窓口が日本語で通じるかは、契約前に問い合わせて確かめておくほうが安全だ。
  • 料金の円建て・請求書対応:いずれも米ドル建てのサブスクリプションが基本で、適格請求書(インボイス)が必要な場合の取り扱いは公式ヘルプで事前確認したい。
  • 社員の肖像・機密の扱い:自社社員の顔や声を「カスタムアバター」として登録する場合、その学習データがどこに保存されるかは利用規約で確認すること。研修内容に人事情報や未公開の製品情報が含まれるなら、社内の情報管理ルールに従って判断する。

アバター生成の方向性の違い

顔出しアバターの作成は、HeyGenが個人の写真や短い動画からアバターを生成する機能を前面に出しており(HeyGen公式サイト「Photo Avatar」機能説明ページ、2025年6月時点)、「社長や講師本人の姿で研修動画を作りたい」というニーズにはHeyGenが応えやすい。一方Synthesiaは、既製のアバターを使ったオンボーディング動画の量産に軸足がある。


導入を見送るべき条件

判断軸の検討と並行して確認すべきことがある。以下のいずれかに該当する場合、HeyGen・Synthesiaへの有料契約はいったん保留することを勧める。

ツール選定より先に整理すべき4つの条件

  • 研修内容に機密情報や個人情報が含まれており、データ保存先が未確認の場合:両サービスとも、アップロードされたスライドや音声データはクラウドサーバに送信される。社内の情報セキュリティポリシーと照合し、担当部門の承認を得る前にデータをアップロードしてはならない。
  • 年間の動画制作量が極めて少ない場合:年に1〜2本程度の制作であれば、有料プランの月額費用に見合わないケースが多い。まず無料枠で制作本数と品質要件を確認してから判断する。
  • 日本語の精度が絶対条件で、確認工程を設けられない場合:音声の最終確認を人が行う体制が組めないなら、AIナレーションの誤読リスクが残ったまま公開することになる。運用体制を先に整えるほうが優先順位として高い。
  • IT専任がいない会社で、かつ社内承認フローが未整備の場合:クラウドサービスの契約・支払い・利用規約確認を一人の担当者が抱える形は、後から管理不能になりやすい。最低限、契約・運用・確認の3役を分担できる体制を先に決める。

ケース別の選び方

状況に応じた選択の目安

  • 既存スライドが多く、忠実に動画化したい場合:スライド構造をそのまま保てるSynthesiaが向く。研修・オンボーディングのテンプレートも活用しやすい。
  • 社長や講師本人の姿で、自社らしい動画を作りたい場合:写真や短い動画からアバターを起こせるHeyGenが候補になる。
  • 年に数本しか作らない場合:両者の無料枠で試作し、日本語の自然さと修正のしやすさを体感してから、最小の有料プランに上げる。いきなり上位プランを契約しない。
  • 人事情報や未公開情報を含む研修の場合:ツール選定より先に、社内の情報管理ルールとデータ保存先の確認を済ませる。

判定の手順

3つの確認で選択を絞る

判定はシンプルにできる。次の3つの質問に順番に答えてほしい。

  1. 手元のスライドを、ほぼそのまま動画にしたいか。そうであればSynthesia寄り。演出や本人アバターを足したいならHeyGen寄り。
  2. 年に何分ぶん作るか、数字で言えるか。言えないなら、まず無料枠で1本作ってから見積もる。
  3. 研修に機密や個人情報が含まれるか。含まれるなら、データ保存先と社内ルールの確認を最優先にする。

便利になるはずの内製化が、選定で止まったまま半年過ぎる、というのは現場でよく見られる状況だ。完璧な比較表を作るより、無料枠で1本作ってみるほうが、たいてい答えは早く出る。

本記事はAI編集を経たのち、編集長が事実確認と品質チェックを実施しています。

本記事はAskiveのAIネイティブ編集部が執筆し、編集長 四月鶉(Yotsuki Uzra)が監修しています。内容は公開時点で確認できた情報に基づきます。